@article{oai:mimasaka.repo.nii.ac.jp:00000579, author = {原田, 佳子}, journal = {第10回地域活性学会論文集}, month = {}, note = {【はじめに】 農林水産省によると、フードバンク(以下、FB)とは、「食品企業の製造工程で発生する規格外品などを引き取り、福祉施設等へ無料で提供する『FB』と呼ばれる団体・活動」であり、「まだ食べられるのにもかかわらず廃棄されてしまう食品(いわゆる食品ロス)を削減するため、こうした取り組みを有効に活用していくことも必要」とされている。         わが国には、2017年9月現在、FB活動主体は77ヶ所1あり、生活に困窮する人々を支援する団体や個人に引き取った食品を無償で分配している。しかし、生活困窮者増加の主な要因である貧困や格差拡大と食品ロスの発生は、資本主義経済という同じ社会の仕組みに内在されており、構造的に再生産される(原田2017)ものであり、食品ロスで生活困窮者を救済することは、食品ロスがなければ成り立たない活動となり、食品ロス削減の観点から大きな矛盾を抱え、根本である構造的な問題の解決にならない。また、我が国のFBが年間に取り扱っている食品ロスは、全体の0.1%にも満たない量(難波江2017)であり、食品ロス削減に貢献しているとは言い難い。このように、農林水産省の定義は、フードバンク活動の実態と乖離しており、FB存在意義を曖昧にしているのではないだろうか。 筆者が代表を務める社会福祉法人正仁会あいあいねっとは、約11年間の活動歴がある。当初は、高齢者の経済的問題から発生する食を保障する活動から始めたが、活動を遂行していく中、わが国の特に地方が抱える最重要課題は、地域活性であると認識するようになった。そこで、当FBは、「食品は食べるためにある、食品をロスにしない」を定義とし、活動のミッションを地域活性に置き、食品ロスの有効活用により、地域の絆を強化する活動を行なうようになった。本稿では、当FBの事例を紹介し、今後のわが国のFB活動の方向性として地域活性を展望する。 【研究方法】 1. 社会福祉法人正仁会あいあいねっとの事例紹介 2. FBを活用した地域活性の在り方 【研究結果】 1. ①フードバンク事業 周知の活動と同じである。特徴的なことは、当FBの健全性を担保するアカウンタビリティの側面から、引取り食品の入庫・出庫に関しては管理システムを導入   ②食品ロス削減活動   FB主体者でだからこそ知りえる膨大な食品ロスの実態を社会に訴える活動を精力的に行なっている。   ③地域づくり活動   「地域の課題は地域が一丸となり主体となって解決する」そのために、地域に様々な情報を提供し、活力ある地域づくりの一端を担っている。地域のイベントにも積極的に参加し、ネットワークの拡充に心がけている。   ④健康づくり   活力ある地域は、住民が健康であることが基本であ るとの考えから、健康に関する様々なイベントを   行なっている。 2. 今後、高齢者を中心に貧困者の増加が予想されている。貧困は、収入がない、蓄えがない、頼る人がいないの3つが重複することにより深刻になる。セーフティネットとしての地域の機能があれば、生活困窮者の安心感は格段に高まると考えられる。食べ物は、人と人を繋ぐ大きな力を持っている。まちづくりに食べ物を活用している例はとても多い。その食べ物に食品ロスを用い、地域がつながり引いては活性化し食品ロスも削減できる。 【考察・今後の展開】  FBを困窮者支援や食品ロス削減に定義するとFB活動の将来を展望することが困難である。地域活性こそFB活動の今後の方向性であると考える。今後、効果評価のため、事例を重ね地域活性効果を検証していく必要がある。 【注】 1 「国内フードバンクの活動実態把握調査及び報告書」(http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/161227_8-38.pdf)2018/6/17 【参考文献】 難波江任(2018)「フードバンク事業の機能と他事業のとの連携効果について」研究誌『地域活性研究vol.9』 原田佳子(2018)「今後のわが国のフードバンク活動の方向性」研究誌『地域活性研究vol.9』}, title = {わが国のフードバンク活動と地域活性}, volume = {10}, year = {2018}, yomi = {ハラダ, ヨシコ} }